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今回の実験

今回はコンデンサに電荷が蓄えられていく過程や電荷を放出していく過程を観測します。

■実験方法
1.図のように、コンデンサCと抵抗Rとプッシュスイッチ2個をブレッドボード上に配線します。


2.電源を投入し、プッシュスイッチ②のみを押し、コンデンサCの電圧を0Vにします。
3.プッシュスイッチ②を離しプッシュスイッチ①を押すと、5V電源から抵抗Rを通りコンデンサCに
 電荷が供給されコンデンサCの電圧が上昇し、電圧計Vの表示が5Vに近づいていくことを
 観察します。
4.プッシュスイッチ①を離しプッシュスイッチ②を押すと、逆にコンデンサCの電荷は抵抗を通じて
 放出されコンデンサCの電圧は低下し、電圧計Vの表示が0Vに近づいていくことを観察します。
5.抵抗Rを10kΩ・1kΩに変更、またコンデンサCを10μF・1μFに変更し、上記の2~4を同様に
 行い電圧計Vの変化を観察します。
6.電圧計Vを5Vにしプッシュスイッチ①②を押さない状態で電圧値を観測します。

■実験結果
・実験方法1~4を実施します。 プッシュスイッチ①を押すと電圧計Vの表示が増加し、プッシュスイッチ②を押すと電圧計Vの表示が減少していくことが確認できました。
増加と減少の傾きは一定ではなく、それぞれ増加時は5Vに近づくと緩やかに、減少時は0Vに近づくと緩やかになることが分かりました。

接続状態

プッシュボタンを押した状態

・実験方法5の抵抗とコンデンサの値を変化させると以下のような違いが分かりました。

・実験方法6については、電圧の変化がおきませんでした。

■考察
電荷が蓄えられ電圧が変化する速さはCRの積で決まります。
CRの積は時定数と呼びます。実験方法5のそれぞれの組み合わせの時定数を以下の表に示します。

実験方法6の結果では電圧の変化はおきないとしましたが、実際には少しずつ電圧が低下していきます。 それは電圧計側などにもコンデンサから電荷が流出していくためです。
(電圧計には大きな内部抵抗があります。そのため時定数も大きくなりますので、かなりゆっくり電圧低下します)

今回の実験部材

■プッシュスイッチ

プッシュスイッチは、ボタンを押すことで内部の接点を開閉する部品です。
ボタンを押している間は接点が接触し導通、離すと断線するモーメンタリ型と、ボタンを押すことで導通と断線が繰り返されるオルタネート型(保持型)の2種類があります。
いずれも様々な電子機器に使用されています。
スイッチはプッシュスイッチ以外にも動作方式の違いで、スライドスイッチ、ロータリースイッチ、トグルスイッチなど多くの種類があります。

今回の実験

半固定抵抗器と電圧計を使用して簡易的な可変電圧電源をつくり、半固定抵抗を調整することで電圧の変化を観測する実験です。

■実験手順
1.図のようにブレッドボード上に回路をつくります。

2.電源を投入し、半固定抵抗を左いっぱいに回すと電圧計の値が0Vであることを確認します。

3.半固定抵抗をゆっくり右に回しながら、電圧を可変できることを確認します。
 0.1V→0.5V→1V→2V→2.5V→最大(右に回し切り)と電圧計の読みが変化することを観測します。
  

■測定結果
・ゆっくり右に回すと、電圧が徐々に大きくなり、約3V(3.03V)まで可変できることが分かりました。

0.1V

0.5V

1V

2V

2.5V

約3V(右に回し切り)

今回は可変電圧電源に負荷をつながないオープン状態で観測しました。今回のような簡易的な電源の場合、その電源電圧は後段につながる負荷の影響を強く受けます。
(電圧が負荷によって変化します)
負荷による変動を小さくしたい場合は、オペアンプをバッファとして入れたり、レギュレータを入れたりして、電圧を安定化させることが一般的です。

今回の実験部材

■半固定抵抗器



※写真は実験に使用した半固定抵抗器と同タイプの100Ω品です

半固定抵抗器はトリマーとも呼ばれます。ドライバーなどを使って軸を回転させることで抵抗値を変化させる構造です。一度調整をすれば固定して使用することを前提としていて、機器の初期設定などに使われます。
一方、抵抗値を変化させる部品としては可変抵抗器(ボリューム)も広く使われています。
可変抵抗器は頻繁に摺動させる前提で設計されており、オーディオアンプの音量調整用途などに使われています。
半固定抵抗も可変抵抗器も摺動させて抵抗値を変化させるという目的から構造は類似していますが、求められる仕様(例えば、耐久性能など)が異なるため、接点構造や材料などに違いがあります。

今回の実験

「E-Stationを使ってLEDを光らせる」で電流計を使って電流を計測しました。
今回は同じ回路を使い、電流計を使わずに電圧計を使って計算で電流を求めます。

※なぜわざわざ計算で求めるの?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
 しかし電子回路の検証では、電圧を測定し電流を求めるのが一般的です。
 理由はのちほど。

■実験手順
1.図のようにブレッドボード上に回路をつくります。


2.電源を投入し、全体の電圧V1とLED端の電圧V2を測定します。
3.抵抗Rの両端にかかる電圧をV1-V2で求めます。
4.オームの法則“I=V/R”より電流値を求めます。

■測定結果
・以下のような測定結果となりました。

  ~モニターを拡大~

・測定の結果、V1=5.07V、V2=1.89Vでした。
・したがって、抵抗両端の電圧は以下となります。

   5.07V-1.89V=3.18V

・電流値は“I=V/R”より
   I=3.18V/1kΩ=3.18mA
この実験を通してオームの法則に従って電圧を測定し電流を求めることができることがわかりました。

※「E-StationでLEDを光らせる」の回で、電流計による測定値は3.15mAでした。
 今回の値との誤差は約1%であり同等の測定ができていることがわかりました。
※抵抗とLEDを逆に接続し、抵抗をGND(グランド)側に接続し抵抗端の電圧を測定すれば、
 そのまま抵抗値で割り算することで電流を求められます。
 今回は非線形素子(電流と電圧が直線的に変化しない)のLEDがGND側でしたので、
 上記の計算を行いました。

<補足>なぜ電圧計を使って計算で電流を求める方法が一般的?
大きくは2つの理由が考えられます。
1.電流計は回路に直列で挿入することが必要です。したがって完成した電子回路の観測を行う場合、
 電流計を挿入するために、プリント基板などのパターンを切ったり部品を外したりすることが
 必要な場合が多いためです。
2.電流計には内部に小さいですが抵抗分があり、その抵抗分が回路の振る舞いに影響を与える可能性
 があるためです。
 また、特に高周波やデジタル回路では波形への影響が考えられ大きな影響がでる可能性があるためです。
 (電圧計は大きな内部抵抗を回路に並列に接続するため、電流計に比べて影響は小さい)
  
  

今回の実験部材

■カーボン抵抗

今回の実験にはカーボン抵抗を使いました。正式には炭素被膜抵抗と言います。
比較的誤差が大きく(5%程度)また雑音が大きいですが、安価であることから広く使われています。
抵抗としては、他に誤差の小さい金属皮膜抵抗、放熱性があり数~数十W程度に対応できるセメント抵抗などが使われています。

今回の実験

■実験手順
①回路の作成
以下の回路をブレッドボード上につくります。(電圧計V1と乾電池を直列に配線する)

②実験
E-Stationの電源を投入し電圧を測定します。

今回は新品のアルカリ乾電池を使用し、電圧計V1の測定値は1.60Vでした。
アルカリ乾電池の公称電圧は1.5Vですが、新品時の解放電圧(OCV *1)は1.6V程度が一般的です。
そのため正常に測定できていることがわかります。
  *1:JISではアルカリ乾電池のOCVは1.68Vmax
この実験を通して電圧計の使い方を学ぶことができました。


今回の実験部材

■乾電池
※写真は今回の実験に使用した電池

乾電池は電解液を固体にしみ込ませて担持させ、扱いやすくした一次電池です。
(一回限りの使用のものが一次電池、充電して繰り返し使えるものが二次電池)
いくつかの形状・電圧などが規格化されていて、高い互換性があります。
また、身近にある一次乾電池では、マンガン電池とアルカリ電池の2種類があります。
電極の材料はそれぞれ+極に二酸化マンガン、-極に亜鉛を使っていることは共通ですが、電解液などに違いがあります。
アルカリ乾電池はマンガン電池よりもパワーがあり長持ちです。大きな電流を必要とする機器に向いています。

今回は乾電池(=一次電池)を取り上げていますが、二次電池を含めた広義の電池ではリチウムイオン電池が話題になることが多いですね。
リチウムイオン電池は高いエネルギー密度、長寿命、軽量といった特性を持ち、PCやスマートホン、電気自動車などには不可欠なものとなっています。
今後はさらに高エネルギー密度、安全性、急速充電性などが求められ、全固体電池の開発が進められています。 電池の進化への期待は高いですね。

今回の実験

■実験手順
①回路の作成
以下の回路をブレッドボード上につくります。

②動作確認
電源を投入し、LEDが光ることを確認します。

③実験
1.抵抗Rの値を1kΩを基準に、100Ω・300Ω・10kΩに変更し、LEDの光り方と電流の変化を観察します。
2.LEDには極性(短い方がマイナス極、長い方がプラス極)があるので、極性を逆に配線した場合にどうなるかを観測します。

■実験結果
・抵抗R 1kΩのとき
  電流値 3.15mA

・抵抗R 100Ωのとき
  電流値 23.4mA

・抵抗R 300Ωのとき
  電流値 9.40mA

・抵抗R 10kΩのとき
  電流値 0.33mA

・LEDの極性を逆にしたとき
  電流値 0mA

観察結果から
抵抗が大きくなると、LEDに流れる電流が小さくなり弱く光ります。
逆に抵抗が小さくなると、LEDに流れる電流が大きくなり強く光ります。
またLEDの極性を逆に配線すると、電流が流れずLEDが光らないこともわかりました。
抵抗を変えることで、LEDの光り方が目に見えて変わっていくので、非常にわかりやすく楽しく実験を進められました。

  

今回の実験部材

LED

LED(エル イー ディー)はLight Emitting Diodeの略です。日本語では発光ダイオードと言います。
電流を流すことで発光する小さな半導体チップを樹脂で覆った光源です。小型、軽量、高い視認性、速い応答速度などの特徴を持つことに加えて、長寿命、低消費電力、水銀など有害物質を使用しないなど環境にやさしい部品です。



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今回はオペアンプについて考えていきます。オペアンプはアナログの代表的な素子と呼ばれています。

オペアンプはOperational Amplifierの略称であり、日本語では「演算増幅器」と呼んでいます。 回路図の記号では図1に示す通りになり、2つの入力の差(=演算)を増幅するものになります。

オペアンプには大きな特徴として次の2つがあります。「増幅度がとても大きいこと」「入力インピーダンスがとても大きいこと」

「増幅度がとても大きいこと」とは「小さい入力信号をとても大きくして出力することができる」と言い換えることができます。その率は数万倍となります。

一見、良さそうですが、少しの変化でもとても大きい変化になってしまうため、逆に扱いにくくなってしまいます。これを扱いやすくするために、入力と出力の間に抵抗を入れて、実用的な増幅度に設定します。この抵抗Rfのことを「帰還(feedback:フィードバック)抵抗」と呼んでいます。図3の場合は、反転入力(-)側に接続するので、負帰還の状態になっていると表現します。

図4に帰還がない場合とある場合のイメージを表わします。帰還が行われない場合は、帰還が行われる場合には、制限が行われ扱いやすくすることができます。

「入力インピーダンスがとても大きいこと」とは、「電流が流れないこと」と言い換えることができます。

「電流が流れない」ため、入力端子に抵抗がつながっている場合には、オペアンプには電流が流れず、接続されている抵抗にそのまま流れていくことになります。これにより、オペアンプの存在を考えなくてもよいことになります。

「増幅機能」の例として、図6に反転増幅回路を示します。

扱いやすくするために、帰還抵抗を使うことは先に述べましたが、帰還抵抗を入れることにより、イマジナリショート(仮想短絡)と呼ばれる現象が発生します。

イマジナリショートとは反転入力(-)と非反転入力(+)がつながるイメージになるという現象です。このことは、非反転入力(+)がGNDに接続されているため、反転入力(-)もGNDに接続されることになります。本来ですと、入力の電流はGNDに流れていくのですが、オペアンプの特徴である 「入力インピーダンスがとても大きい」ため、電流はRfに流れていきます。

図8に示す通り、入力側と出力側を流れる電流は同じになりまので、

Vin/Ra = -Vout/Rf

この式より

Vout = -(Rf/Ra)*Vin

となり、増幅度はRfとRaの比で決まることになります。

図9に実際に作成する反転増幅回路を示します。この場合の増幅度は (Rf/Ra) = 20kΩ/2kΩ = 10 で10倍になることが求められます。また、本回路の場合は非反転入力(+)に2.5Vが入力されるため、中心電圧は2.5Vになります。

オペアンプを用いた「演算機能」の使用方法としては「加算、減算、乗算、除算、積分、微分、比較」などがあり、とてもたくさんの使用方法があります。

今回はその一例として、加算(足し算)に関して考えていきます。加算回路は先に述べた反転増幅回路の応用編とも言えます。

入力1~3の3つの入力がRa1~3を通して接続されています。加算回路の場合は、それぞれの入力に対する出力を求め、それを足し合わせたものになります。求め方は先の反転増幅回路と同じになります。

即ち

入力1に対する出力:Vout1 = -(Rf/Ra1)*Vin1 = -(6/2)*1  = -3

入力2に対する出力:Vout2 = -(Rf/Ra2)*Vin2 = -(6/3)*1  = -2

入力3に対する出力:Vout3 = -(Rf/Ra3)*Vin3 = -(6/6)*1  = -1

総出力:Vout = Vout1 + Vout2 +Vout3

                     = (-3) + (-2) + (-1)

                     = -6

この値が実際に出力可能かは電源電圧やオペアンプの種類によって変わってきます。

図14に実際に作成する加算回路を示します。実験するE-Stationでは負(-)側の信号は扱えないため、正帰還を用いた加算回路となっています。この場合、非反転入力の電圧は平均値となるため1.32V+0.66V)/2=0.99V となります。また、増幅度は (1+Rf/Ra) = (1+20kΩ/10kΩ) = 3 となります。

前回は半波整流回路について考えました。半波整流回路では、反対側に流れる(負の側)電気を流さないようにすることで、交流を直流にしていました。しかし、その方法では負の側の電気を捨てることになり、元々の交流の半分しか使わないことになります。そこで、負の側の電気も使おうと考えられたのが「全波整流回路」です。

半波整流の時と同様、電気の流れをコントロールするのにはダイオードを用います。半波整流では用いたダイオードは1つでしたが、全波整流では4つ用います。そして、図4のように接続します。このように接続した回路を「ダイオードブリッジ」と呼びます。

図4のダイオードブリッジを用いて、構成したのが全波整流回路になります。

では、全波整流回路の動作を見ていきましょう。まずは正弦波の正(+)側の動作です。

①正(+)側の場合はここがスタートになります。

②ここではD4には逆に電流は流れないので、D1に電流が流れます。

③D3にも逆に電流は流れないので、R1に電流が流れます。

④R1には上から下に電流が流れます。

⑤D4のカソード側の電圧は⑤の位置より高くなるため、D4には電流が流れません。この結果、電流はD2に流れます。

⑥以上のルートを通って電流は帰ってきます。

以上の動作より、正(+)側の場合はD3、D4は電気が流れず、動作していないことになります。次は正弦波の負(-)側の動作です。

①負(-)側の場合はここがスタートになります。

②ここではD2には逆に電流は流れないので、D3に電流が流れます。

③D1にも逆に電流は流れないので、R1に電流が流れます。

④R1には上から下に電流が流れます。

⑤D2のカソード側の電圧は⑤の位置より高くなるため、D2には電流が流れません。この結果、電流は D4に流れます。

⑥以上のルートを通って電流は帰ってきます。

以上の動作より、負(-)側の場合はD1、D2は電気が流れず、動作していないことになります。

全波整流回路の正(+)側、負(-)側のそれぞれの動作を見ていきました。どちらの場合も、R1に流れる電流は④に示す通りで同じ方向になり、半波整流で捨てていた負(-)側の電流も用いることができます。但し、各簡略図に示す通り、経路にダイオードが2個存在するため、その分、振幅は小さくなります。

なお、全波整流回路において、入力信号と出力信号の基準電圧(GND)が異なるため、同一画面で表示ができません。このため、今回は2台のE-Stationを使って画面表示しております。

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