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LABO

E-StationでCMOSイメージセンサの原理を学ぶ①(企画・設計編)

実験室

今回の実験室

スマートフォン、車載カメラなどいろいろな用途に使われているCMOSイメージセンサの原理を、実験を通じて学びたいと思います。 今回はその1回目です。

実験方法と実験サンプルの設計

1.CMOSイメージセンサの原理について

実験に入る前にCMOSイメージセンサの原理を学びたいと思います。
CMOSイメージセンサを拡大すると図1のように素子が格子状に並んだ構造をしています。
各素子の断面は図2のようになっており、センサに入った光はレンズとカラーフィルタを通過したあと、フォトダイオードで光の強弱に応じた電荷量に変換され、その変化を電気信号として取り出します。

図1:CMOSイメージセンサ図
図2:断面図

2.今回の実験方法のコンセプト設計

CMOSイメージセンサは半導体チップ上に形成する素子ですので、そのままの構造を再現する実験は困難です。
今回は誰でも手に入るディスクリートのフォトダイオード部品を使って、実際に電気信号を取り出し、画像として表現することで原理を学ぶことをコンセプトに進めます。
そこで図3のような案を考えました。
 ・イメージセンサと同様の原理で働くフォトダイオードを格子状に並べ、そこから
  電気信号を取り出します
 ・今回は簡単な白黒画像を対象とします
 ・E-Stationを使用し、それぞれのフォトダイオードに電源を供給し、それぞれの
  フォトダイオード端の電圧を測定し光電流を求めます。
  その光電流値をもとにMicrosoft Excelを活用し256階層の白黒画像としてプロット
  してみます。
 ・実際に画像として認識できるか? 解像度を上げるにはどうしたらよいか?
  などを、実験を通じて学びたいと思います。

図3:実験コンセプト図

3.実験ツールの詳細設計

センサ部分・電気部分・光学部分に分けて考えます。

●センサ設計

今回は補正フィルタなしで視感度に近い特性を持ち、入手が容易なフォトICダイオード(浜松 S13948-01SB)を採用しました。 次にこのフォトICダイオードを使った素子数の設計ですが、当然素子数を増やせば解像度が上がります。 今回は素子をユニバーサル基板上にはんだ付けすることを前提にするため、高密度化には一定の制約が生じます。 そのため、現実的な実装密度と後述の光学設計要件から図4のように8×8=64個に決めました。

図4:ユニバーサル基板とフォトICダイオード

●電気設計

フォトICダイオードの特性は図5のように適切な負荷抵抗を通じて電圧を印可しておくと、明るさに応じて光電流が流れることが分かります。
今回は一般的なオフィスの環境のもと、光源となるLEDライトを使って行います。 そのため、オフィスの明るさから精密作業台レベルの明るさ程度の光が入力される可能性があると考えました。
E-Stationは5V電源を内蔵していますので、図6のように1kΩの抵抗を通じてフォトICダイオードに供給するようにします。
その場合の負荷線が図5の紫線となります。この場合、精密作業台レベルの明るさ以下はほぼリニアな光電流変化を検出することが期待できます。

図5:フォトICダイオード特性
図6:回路図

(E-Stationの電源供給についても検証しました。 精密作業台レベルの明るい環境でフォトICダイオードに流れる電流は3.3mA程度です。 64個すべてを明るい環境下に置かれた場合でも3.3mAx64=211mAです。 E-Stationの5V電源の供給能力は1Aですので十分ドライブできます。)

ユニバーサル基板上にフォトICダイオードを64個並べると図7のようにおおよそ□60mmになりました。

図7:レイアウト図

●光学設計

実験しやすい大きさとしてA4サイズ程度の画像を上記64個の格子状のフォトICダイオードに画像を映すことを考えます。
レンズの焦点距離fとそれぞれ像距離vと被写体距離uの関係は以下の式で表すことができます。

1/f=1/u+1/v

今回はケニス社のプラスチックレンズD-43 焦点距離100mmを選択しました。
この結果、上記の式により被写体距離は600mm程度必要となります。
像距離と被写体距離の比は5倍になりますので、250mmの画像は概ね1/5の50mm程度になることが予想されます。今回のセンサ面のサイズの□60mmに適度に収まるため、この設計内容で進めることにします。

図8:光学設計図

4.予備実験

これまでの検討で実験に関わる設計ができましたが、数個の部品を使ってその実現性を予備実験で確かめたいと思います。
今回は2つの観点で予備実験を行いました。

・レンズを通した白黒の光の差をフォトICダイオードが必要な精度で検出できることの確認

図9のようにレンズを通した白黒画像の白(明るい)と黒(暗い)が映るように準備します。
 その後、ひとつのフォトICダイオードを白と黒それぞれの位置になるように動かしながら
 光電流を測定し、以下の結果を得ました。
  白位置のとき  光電流Id=0.18mA
  黒位置のとき  光電流Id=0.12mA
 これにより約33%の電流変化が得られることが確認できましたので、今回の実験方法で
 明暗を判別できると判断しました。

・フォトICダイオードの個体ばらつきが図形を描く目的に使えることの確認

今回の実験では64個のフォトICダイオードを使用します。 個々の素子のばらつきが大きい場合、正しい画像が得られないことが想定されます。 そこで素子の光電流のばらつきを確認します。
データシート上の光電流の特性は以下でした。
  光電流:Min 0.18mA 、 Max 0.34mA
データシート上のMin値とMax値の差は、上記予備実験の白黒画像の電流差よりも大きく、これでは今回実験の画像用途では使用が難しいことになります。
しかし、データシートは一般的におおきなマージンを見ていますので、実際に5個を同じ条件で測定し、現実的なばらつきを基に判断したいと思います。
測定の結果、標準偏差σ=0.01mA程度で、99.7%区間である3σは0.03mA程度でした。
予備実験での白黒の電流差は0.06mAであることを考えると決して精度が高いとは言えません。
しかし、256階層グレースケール程度の画像を描くには、それほど高い精度は必要ありませんので、使用可能と判断して進めます。

次回はこれらの設計を実際に製作し動作させてみます。

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