E-Stationでアクティブフィルタをつくる①
今回の実験室
今回は、前回のCR回路を発展させ、E-Stationでオペアンプを用いたLPF(Low Pass Filter)とHPF(High Pass Filter)を作製し、周波数特性を測定します。
前回扱ったような抵抗やコンデンサのみで構成されるフィルタは「パッシブフィルタ」と呼ばれます。一方、本記事で扱うようにオペアンプなどの能動素子を使用したものは「アクティブフィルタ」と呼ばれます。 アクティブフィルタは多くの電子機器で使用される基本回路です。本実験を通じて、その動作と特徴を理解していきましょう。
■実験方法
1.以下の回路図1、回路図2のように、ブレッドボード上にLPFとHPFをそれぞれ作製します。
前回同様に、フィルタの入力端子にオシロスコープのCH1、出力端子にCH2を接続します。
※CH1はフィルタへの入力信号、CH2は出力信号の観測に使用します。


<今回の回路の補足説明>
今回は5Vの単電源で正弦波信号を扱います。このとき、グランドを信号の基準電位にすると、オペアンプは負方向の振幅を正しく扱えません。
そこで、中点電位(今回は2.5V)を生成し、この電位を基準として信号を扱うようにしています。
また、正弦波入力端子に半固定抵抗VRを追加しています。アクティブフィルタは回路定数によってはゲインが0dB以上となり、出力が入力より大きくなる場合があります。
今回の条件では、波高値が2.5Vを超えると信号がクリップします。そのため、半固定抵抗により入力信号レベルを調整できるようにしています。
2.測定周波数範囲と測定周波数を決め、測定します。
今回の回路におけるカットオフ周波数は以下の式で求められます。

測定周波数範囲と測定周波数のポイントは前回と同様にします。
3.測定結果をもとに周波数特性を作成します。
各測定周波数において、ゲイン(Gain)を計算します。ゲインは一般的にdB(デシベル)表示することが一般的ですので、以下のように計算します。

この結果の表をもとにグラフを作成します。
■実験結果
1.以下のようにブレッドボード上に回路を構築しました。

2.各周波数において、入力電圧V1と出力電圧V2を測定・記録しました。
測定結果は以下のようになりました。


3.その結果をもとに、ゲインの周波数特性をグラフとして作成しました。
回路図2(HPF)の200Hz以下の周波数では、測定電圧が低くなり正確な電圧が計測できませんでした。
そのため今回の測定では200Hz以下は有効なデータではないと判断しました。


■考察
今回のグラフから、LPFではカットオフ周波数以上の領域で、ゲインが約12dB/octの傾きで減衰することが確認できました。
※oct(オクターブ):ある周波数に対して2倍(または半分)の周波数の幅
一方、HPFではカットオフ周波数以下の領域で、LPFと同様に12dB/octの傾きで減衰しています。
前回のCR回路と今回のアクティブフィルタによるLPFを比較すると、CR回路は6dB/octであり、今回のフィルタの半分の傾きであることが分かります。

この6dB/octのフィルタは「一次フィルタ」、12dB/octのフィルタは「二次フィルタ」と呼ばれます。
一次フィルタではカットオフ周波数付近の特性は変えられません。 二次フィルタでは共振が生じますので、回路定数を調整することで共振の鋭さ(Q)を制御し、カットオフ周波数付近の特性を変化できます。
今回の実験を通じて、アクティブフィルタの基本特性と、一次フィルタとの違いを確認することができました。
次回は、さらにアクティブフィルタを深堀りします。
■今回の実験部材
電解コンデンサ
電解コンデンサの中でも、最も広く使用されているのはアルミ電解コンデンサで、「ケミコン」とも呼ばれます。
電解コンデンサは大きな静電容量を実現できることが特徴で、電源の平滑やデカップリング用途に多く使用されます。
今回の回路では、電源および中点電位のデカップリング用途として使用しています。
ただし、容量を大きくすると高周波特性が劣化するという特性があります(高周波ではインダクタンス成分が支配的になります)。 そのため、実際の回路では、高周波特性に優れたセラミックコンデンサを並列に接続して使用するのが一般的です。
