E-Stationでフィルタの周波数特性を測定する
今回の実験室
以前の「E-StationでCR回路を作る」の記事では、CR回路を遅延回路機能として観測しました。
今回はCR回路をフィルタ回路として動作させ、E-Stationに内蔵された発振器と測定機能を活用し、ゲイン(Gain:利得)の周波数特性を測定します。
フィルタ回路は電子回路設計で頻繁に使われるため、「周波数によって信号がどのように変化するか」を理解することが重要です。
次回以降、今回の周波数特性測定を使い、アクティブフィルタや各種フィルタの測定と音の加工の実験へ発展させます。
■実験方法
1.以下の回路図のように、CR回路に正弦波を入力します。
入力端子にオシロスコープのCH1を、出力端子にCH2を接続します。

ゲインは入力電圧と出力電圧の比から求めるため、オシロスコープでそれぞれの電圧振幅を測定します。
周波数特性の算出自体は電圧値を用いて行いますが、波形を同時に観測することで、波形の歪みやクリップなどの異常を確認でき、測定の信頼性を高めることができます。
2.測定周波数範囲と測定周波数を決め測定します。
今回のCR回路のカットオフ周波数は以下で求められます。

今回は1kHzを含む20Hz~20kHzを測定範囲とします。
これは人間の可聴帯域に対応しており、オーディオ回路の評価で一般的に用いられる範囲です。
また、横軸の周波数は対数スケールで表現することが多いため、測定周波数も対数的に等間隔になるように測定周波数を設定します。特にカットオフ周波数付近ではゲインが大きく変化するため、測定点を細かく設定すると特性をより正確に把握できます。
3.測定結果をもとに周波数特性を作成します。
各測定周波数ごとに、以下の式でゲインを求めます。
![Gain[dB]=20log(出力電圧/入力電圧)](https://m-gic.com/wp/wp-content/uploads/2026/06/image-2.png)
ここでdB(デシベル)は比を対数で表現した単位で、幅広い変化を扱いやすくするために用いられます。
■実験結果
1.以下のようにE-Stationのブレッドボード上に回路を実装しました。

2.各周波数毎にV1とV2のそれぞれの電圧を記録していきます。
測定結果は以下のようになりました。


3.ゲインの周波数特性を表示します。
1kHz付近を境に、低い周波数ではゲインが0dB一定、高い周波数ではゲインが減衰しており、低域通過フィルタLPF(Low Pass Filter)であることが確認できました。

■考察
今回は周波数特性の理解を目的として、各周波数ごとに入力電圧と出力電圧を測定し、ゲインを算出しました。
この方法は原理を理解するのに適していますが、測定点が多くなると作業量が増えるという課題があります。
実際の開発現場では、より効率的な測定手法が用いられます。
代表的な測定方法には以下があります。
1.掃引(スイープ)法
正弦波の周波数を連続的に変化させながら応答を測定する方法です。
今回の実験は、この手法を手動で行ったものに相当します。
2.インパルス応答法
非常に短いパルスを入力し、出力応答の時間波形をフーリエ変換することで周波数特性を求めます。
3.ノイズ測定法(ランダム信号法)
ホワイトノイズを入力し、出力のスペクトル解析する方法です。
他にもチャープ信号(短時間の連続的に変化する信号を入力する)を使った測定など、複数の方法があります。
測定対象の特性(非線形性や時間変動)や測定環境に応じて、これらの手法を使い分けることが重要です。
■今回の実験部材
セラミックコンデンサ
今回はセラミックコンデンサです。セラミック(陶磁器)を誘電体に用い、小型・低コストで量産性に優れるため、電子機器のあらゆる分野で広く使われています。特に高周波特性に優れ、電源ラインのノイズ除去(デカップリング用途)に最適です。代表的なものに積層セラミックコンデンサ(MLCC)があり、高容量化と小型化が進んだことで近年ますます使用機会が増えています。一方で温度や印加電圧による容量変化があるため、用途に応じた特性選定が重要です。
